ポルトガル旅行にてリスボン滞在中に、トラムに関して痛ましい事故が発生しました。はじめに事故にあわれた方のご冥福をお祈りするとともに、一刻も早い原因究明と再発防止策がなされることを切に願います。
ポルトガルといえば街中を走るトラムがとても有名で、私も旅行中に乗りたいと思っていました。ですが、滞在中に風邪をひいてしまい、いろいろスケジュール変更を余儀なくされて、結果的にトラムには乗ることができませんでした。
その後ニュースで悲惨な死亡事故が起きたことを知り、紙一重だったんじゃないかと結構ショックが大きかったです。
【概要】リスボンのトラムとは?

リスボンではトラムが歴史的な街並みを旅する風情ある交通手段として有名です。狭い坂道、小道、急な勾配を走る電車で、特に「トラム28番(Tram 28)」などが、あまりにも風景が良く観光客には人気があります。
路線は6本程度が運行しており、全長はおよそ31キロメートル。中には急な坂道を上り下りする路線や、街の中心部をくねくねと通るものもあります。
Klook.comリスボンで発生した事故
日本でも一部報道されていましたが、現地ではテレビなどでもこの話題で持ち切りでした。海外のニュースサイトの方が詳しく報じていたので、AP通信の記事などを中心に事故の概要についてまとめました。
事故の概要
項目 | 内容 |
---|---|
日時 | 2025年9月3日夕方(約18:05) |
場所 | リスボン、グロリア線 (Bairro Alto ↔ Restauradores Square) |
形式 | 「昇降式ケーブル鉄道」に近い形式です。通常は一方の車両が坂を上り、もう一方が坂を下ることでバランスを取ります。 |
原因(初期報告) | 上のほうの車両をケーブルでつなぐワイヤー(連結ケーブル)が疲労(または摩耗)により切断した可能性が高いと見られている。 ケーブルが外れた直後、車両は制動装置が作動したが、それでも制御不能になった。 |
結果 | ケーブル断裂後、上側の車両が暴走して坂を下り、線路から脱線し、建物に衝突。最終的に16名が死亡、20名以上が負傷(うち重傷者あり)という非常に深刻な事故となった。 (AP News) |
被害範囲等 | 車両側・建物側ともに損傷あり。事故現場は坂道やカーブ、狭い街道などが入り組んでおり、制御不能状態の車体が建物等にぶつかった際の勢い・破壊力が大きかった。多くの旅行者・現地住民が遭遇してしまった。 (AP News) |
対応 | 事故後、リスボン市は全てのトラムを停止し安全検査を実施。 運営会社Carrisを含む調査委員会が設立され、新しい安全メカニズムの設計検討が行われている。国として追悼の機会、遺族支援、外部の専門家を含めた検討などが進められている。 |
トラムのリスク
まさかこんなことが起きるとは夢にも思いませんでしたが、実際に起きてしまった以上、冷静にこうした観光資源である交通機関のリスクから目を背けることはできないかと思います。
- 安全リスクの重大さ
ケーブル断裂・制動不能という致命的な機械的故障が起きたことで、乗員・乗客に対して非常に高いリスクが顕在化した。特に坂道・急カーブ・狭い道では事故が起きたときの被害が大きくなる。 - 老朽化や整備問題の可能性
報告で「ケーブルの疲労」などが原因としてあげられており、見えない部分・構造内部の摩耗や劣化が、日常的な目視点検などでは発見しにくい。もしこういった設備を信用しきれない、メンテナンスが信頼できないと感じるなら、あえて乗らない判断が合理的とも言える。
初期段階で目にしたニュースでは、恒常的に定員以上の乗客を乗せていたというコメントもありました。そうした慢心が積もり積もって、摩耗など整備上のトラブルにつながった可能性は否めないように感じます。
まとめ
リスボンのトラムは確かに魅力的で、歴史や街並みを体感できる乗り物としてリスボンに欠かせない大切な観光資源です。でも、今回の事故は、その魅力の裏にある設備・構造のリスクが表面化し、現実に致命的な問題を引き起こしてしまいました。
海外での乗り物のリスクというのは頭の片隅においたうえで、少しでもリスクを最小化できる方法を旅行者側も模索する必要があるかもしれません。
- 風景を楽しみたいなら、比較的平面を走り混雑の少ない時間帯・路線を選ぶ。
- 高リスクと感じるなら(体調・年齢・同行者・旅行保険などを考えて)、乗らないという選択を最優先する。
私自身は事故には合わず無事に日本に帰国することができましたが、それが叶わなかった被害にあわれた多くの観光客がいらっしゃいます。その方たちのご冥福をお祈り申し上げます。